ベトナム恋愛宣言
2015/01/13 Tuesday
第七話 マシンガンメール
のびたはティナにボーリングを教えたが、初めてだからなのか上手くいかず、だらだらと時間だけが過ぎていき、気付けば3ゲーム目を終えるところだった。
「やっぱり具合、悪いんじゃないの?」
「ウン…デモ大丈夫」
「無理しちゃダメだよ。それに、おばあさんも心配なんだろう」
「ジャア、最後ニ食事ダケデモ…」
「わかった。飯食べたら帰ろう。送るよ」
「…アリガトウ…ノビタ…」
ボーリング場から出て、ユニオンスクウェアへ行き食事を食べてから、のびたはティナを送っていった。
…と、ここまでを聞いていたら、「あ、この二人上手くいかないまま終わるんだな」と思われるであろう。
実際、のびた本人もそう考えていた。
もうティナとは会うことはないだろう…と。
だがしかし水面下では同時に別のことが起きていたのだ。
初めてティナと出会ったあの夜、のびたはティナと連絡先を交換していた。
電話番号とメールアドレス。
思えばこの時点でもう歯車は狂いだしていたのかもしれない。
知り合って二日。ティナののびたへのメールは100件を超えていた。
あの食事へ行った日も含めて、だ。
連絡先を交換し、ティナの店を出た後。そして昨日のデートの後。
メールはまさに文字通り“暇さえあれば”送ってきているのではないかと思ってしまうほど、のびたのアドレスへと届いた。
のびたは途中で寝てしまったのだが、のびたが寝た後にもティナからのメールはのびたの元へと届いていた。